今日の一冊(2)

まだ一週間ほどはあったかい日が続くようですが、いつ寒くなってもおかしくないので皆さん体調管理には気を付けましょう。

EdTech(エドテック)が変える教育の未来
佐藤昌宏 著

子供の教育に関わることはずっと関心があり、いずれ事業としても取り組んでいきたいのですが、この度エドテックという言葉に出会い、本屋で平積みになっているのを衝動買いしました。

ちなみにエドテックは「Education(教育)」と「Technology(科学技術)」を組み合わせた造語になります。

まだまだ日本で知られるようになって浅いこともあり、エドテック=AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)、VR(仮想現実)など、最新テクノロジーを活用した教材やサービスだと思っている人が多いようですが、それだけではなくスマホや動画講座、オンラインの英会話などと言ったものも含まれ、幅広い意味を持っています。

 

著者曰く、日本の教育現場には昔ながらの「英語は書いて覚えるべき」「教育にテクノロジーを使うと人間味がなくなる」と言った風潮が根深く残っているようで、なかなかテクノロジーを活用した多様性の活用が遅れているとのことです。

 

この本の中で「なるほど、そうだな」と感じた言葉がありました。それは・・・

学歴社会から「学習歴」社会へ

です。

 

今後、さらにテクノロジーの進化が進むと、これまでの教育という制度に頼らなくても、学びたいことが学びたいときに学べる仕組みが当たり前になってきます。

何歳でも、誰でも、ネットやオンラインにより好きなことが好きなときに自分のペースで学べ、しかもブロックチェーンの技術を応用し学習の履歴がデータによって管理されれば、一発勝負で合否を決める大学入試は無意味になるかもしれないのです。

その人の学習歴データを選抜の基準にする教育機関が出てくると、学習者の学力評価を定点観測から常時観測へと切り替える可能性があるということです。

もちろん、エドテックは万能薬ではないと思いますし、今までの教育制度を全て否定しているわけではなく、ネットやオンライン、テクノロジーの活用によりこれまであった地域格差や収入格差、年齢制限や学校制度からの理不尽な排除など、様々な部分で改善できることがあるのではないかなと感じます。

そして、テクノロジーが発展すればするほど、人と接することで学べることの質が変わるので、逆に学校という制度の価値が上がったりということも考えられます。

 

おそらく、自分たちのいる業界にテクノロジーが入ってくることに抵抗を感じる方は多いと思います。

その抵抗の正体はおそらく「分からない」からでしょう。

 

つまり、今まで培ってきたことがもし根底から覆ったら。変化に自分がついていけなかったら。新しいことに取り組んだばかりに思うような教育ができなかったら。などど考えてしまうのではないでしょうか。

「分からない」ことへの不安。よく分かります。

 

しかし、だからと言って時代の変化・進化に目を背けていてもいずれはその変化に対応しなければいけないタイミングは必ず来ると思います。

こと、教育に関しては間違った問題を自分で分析して次に活かすことが大切なのに人工知能に任せていいのだろうか。まだ、テクノロジーが進化していって、人間の能力は退化してしまわないか。学習者の「考える」といった学習機会を奪ってしまうのではないか。などと考えがちではないでしょうか。

 

もちろん、そういった弊害がゼロではないかもしれません。でも、なんでもそうですが、良い面もあれば悪い面もあるはずなので、まずはやってみるということが大切ではないでしょうか。

やってみる、そしてどうだったかを検証して次に活かす。

それでいいのではないでしょうか。

 

とりあえず、教育に関わる方には是非オススメしたい一冊でした。

 

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